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◆ふらんす堂編集日記
◆第四句集
一行と離れてよりの花野かな
仲間と離れて一人となってからの花野は、まるで別世界のように美しかった。吟行の場面を超えて、人生ドラマの一齣を思わせる広がりと深みがある。「知」や「情」を経て、集名「想」の世界に至ったのである。
(帯より:鷹羽狩行)
◆自選十五句
彼の世にて揃ふちちはは初昔
さみしさに慣るるにちから冬木の芽
うすらひの午後のかたちとなりゆけり
ひとびとにゆきわたりたる桜かな
日に風に軽く目つむり若葉時
六月の森より戻るどこか濡れ
梧桐や勉強部屋のありしころ
さざ波は休まざる波九月来る
鳴き砂を心ゆくまで踏みて秋
子規の忌と思ふ畳を拭きをりて
*
[さとうひろみ(1950〜)「狩」同人]
帯:鷹羽狩行
栞:高田正子
装丁:和兔
四六判フランス装カバー掛
188頁
2014.06.16刊行