◆俳句叢書 Serie de Blanc 5
枯萩といへどもあれば心寄る
本集の題名「南箕北斗」は、南箕、北斗ともに星座の名。箕も斗も空にあつたのでは使へない。ものの役には立たないことを言ふ。私の俳句もそのやうなものだといふ思ひからである。
(あとがきより)
◆自選十五句より
つらつらに見つつ椿と船の水脉
次の風また次の風芒原
秋風の遊行柳を去りにけり
一握を採る一望の土筆より
筑波より九夜の地の涼しさよ
山燒や火が生む風に火が乘つて
ラスター彩遠き見ぬ世の夏の色
炎天となりゆく朝のものの影
松島や?に出て聞くほととぎす
原爆投下時刻直前水を打つ
*
[しまたに・せいろう (1949〜)「一葦」主宰。「風土」同人]
装丁:和兎
四六判フランス装カバー掛け
232頁
2013.09.26刊行