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◆俳句叢書 Serie de Blanc 4
ここからの山が正面更衣
俳句を始めて三十年を超え、昨年は定年を迎えて仕事も終えた。今が私の人生の節目。その時期に句集を出すのも意味のあることと思う。今後は、より自在に、より平易に、「春風」のような心で好き勝手に詠んでゆきたい。
(あとがきより)
◆自選十五句より
虚子の忌の黴のよろしきチーズかな
蜂の巣を繕ふ蜂の泣きながら
縁側は小春が寄つてゆくところ
初硯拙を守るといふことを
台風圏叩いて枕ととのふる
野紺菊空がひらいてゆきにけり
雪が来る耳のきれいな子どもたち
巣燕のなんでんかんでん口ひらく
わが性根種痘のころに定まりし
汐まねき利き腕ばかり使ふから
*
[おおしま・ゆうさく (1952〜)「青垣」代表]
装丁:和兎
四六判フランス装カバー掛け
210頁
2013.09.10刊行