◆第一句集シリーズ/I
かたかたと椅子の傾ぎて氷店
鋭い五感を働かせた対象把握は印象的で実感を伴って伝わって来る。なんでもないような皮膚感覚が菜々花さんにかかれば、心のどこかを揺り起こすような一句となるのだ。
(序より・山田佳乃)
◆自選十句
サイダーの泡の数ほど嘘をつき
猫じやらし住むかもしれぬ町歩く
ほんものは斯うわらふのよ雪女
くちびるを鶯餅にうばはるる
花衣たたみ終はつてから泣かむ
香水をまとひ八割方無敵
サングラス外せば海の若返る
寒木に抱きつけば象の手触り
徳利の首より冷むる春の果
体温をうつさぬやうに桃を剥く
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[いしどななか(1967〜)「円虹」所属]
序:山田佳乃
装丁:和兎
A5判ペーパーバックスタイル
72頁
2018/9/8刊行