◆ふらんす堂編集日記
◆句に輝く動物たち
生きとし生けるものみな平等
偶然の機会から俳句を始めてみたら、そこには私が感じていた、生きとし生ける物みな平等の世界、「草木国土悉皆成仏」の宇宙観が、ごく当たり前のこととして浸透していたのです。「一日一句」の連載のお話があった時、迷わず「鳥獣の一句」を希望しました。
束の間をこの星に生きて、いずれ滅んでいく仲間としての鳥・獣たちを親しく詠んだ作品を集めてみたかったのです。中には、幻想の生物や、山や海をも生命体として感じている作品も取り上げました。
この本が、鳥や動物に一層の関心を持っていただける機会になれば幸いです。
(あとがきより)
◆雪たのしわれにたてがみあればなほ 桂信子
作者の変身の夢の対象は、どのような動物だろうか? 思い浮かぶのは馬とライオンだが、他にも鬣狼も居る。しかし狼とは言い条、狐に近く、あまりカッコ良くない。私は獅子と思いたい。霏々と降りかかる雪の中、ナルニア国の偉大なる王アスランのように、白金のたてがみを輝かせ、楽しげに咆哮する獅子。八〇歳を過ぎての作であることに、心を動かされる。
(『草影』)季語=雪(冬)
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[おくざかまや(1950〜)「鷹」同人]
装丁:君嶋真理子
四六判変形並製カバー装
234頁
2014.02.04刊行