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◆現代俳句女流シリーズ燦II
清明や何も挿さざる壺の口
これほど「清明」の本意・本情を具体化した句はない。
汽罐車の黒一塊の淑気かな
「淑気」とはほど遠い存在に対して「淑気」を感じた。
澄む水にわが身の内も映らんか
「澄む水」のありようを、自分の心までも映し出すものととらえた。
鋭い感覚とレトリックが、一体となった業に圧倒される句集である。
畦を焼く十字なすとき火を強め
草の葉のするどく夏の立ちにけり
潮の香のたちのぼりくる祭川
赤子てふ熱きもの抱き夜の秋
おのづから膝に手を置き涼新た
冬銀河まつくらな海動きけり
思ひ出しては炎あげ落葉焚
(帯より)
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[たぐちべにこ(1948〜)「狩」同人]
帯:鷹羽狩行
栞:小川軽舟
装丁:君嶋真理子
A5版上製本
112頁
2007.09.01刊行