[在庫僅か]と表示される商品はお手数ですが、在庫をお問合せいただきご購入下さい。「在庫あり」と表示されていても品切れの場合がございます。
◆第二句集
<歌掛けし柱や雨のほととぎす>
「寂光院焼失」の前書きがある。
一句の中で、連句の付け合いを生かした手法の成功例として、注目したい。
「歌掛けし柱」が、前書きに依って、紅蓮の炎に包まれる一瞬を垣間見せる。
出だしを切字できっぱり切って、平穏寧日の柱の姿をまず浮かびあがらせる。その上で炎を呼ぶ息をのむ瞬間が重なるのだ。
連句の捌きの心で、句中に付句も取り込む形といってよい。結句の「雨のほととぎす」に、すでに炎はない。一過の白昼夢の如きインターバルを置いて、このフレイズが出現する。
作者が眞鍋呉夫さんから会得した手法といえよう。句集に異例な歌仙を加えたゆえんでもある。
(序より:倉橋羊村)
◆収録作品より
猫の子の遊びをせむと生まれけり
流木やつばくろ腹をひるがへし
実石榴の種はカインの歯の如し
動物度嗅がれて寒き檻の前
オカアサンナンカシンジャエ息白し
感応式信号冬の灯をともす
*
序文・倉橋羊村
題字・金子兜太
装丁・伊藤鑛治
四六判フランス装(函装)
203頁