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◆ 第3句集
序・金子兜太
誠実に軽やかに
高木一惠の俳句や文章を読んでいると、みどりの葉越しに遠くきらめく、細やかな水波を望むおもいがある。静かな、しかし閃きを蔵した感性。
この感性は禅の修行によっても磨かれているようだが、親しみつつ吸収していると言いたい気持が私にはある。
そして誠実に生き、それを表現しつつ、まっとうに未来に向って歩いてゆこうとしている。
靴ぬげば手児奈の素足かつしか野
楷若葉をさなき彼と彼女たち
ピノキオは未だ木の鼻小鳥来る
コスモスや遊びのやうに支へ合ふ
もう逆立ちができない電飾クリスマス
慈母なりし悲母なりしとも冬椿
短日や食べて働く若き母
反戦や着替へて淡き花の宿
永き日のミトコンドリア骨のなか
漁火へふつと涼しき乳房かな
序・金子兜太 題字・倉橋羊村
装丁・伊藤鑛治
四六判フランス装函入り