[立ち読みする]
近代以降の蕪村論を大きく飛躍させんとする意欲的な試みにみちた一書。
近世俳諧から現代俳句まで多くのすぐれた業績をもつ著者が新しい蕪村像に肉迫する。
里ふりて江の鳥白し冬木立 蕪村
入江のほとりに古い村里が眠っている。鏡のような水面に、水のほとりの冬木立がくっきりと影を落としている。白い鳥が身じろぎもしない。時間が凍りついたような風景。(本文より)
●目次
I
藤原敏行の主題による十四の変奏
白の詩人
蕪村の転機
夜半亭四部書
II
蕪村散景
飛べ、鶯よ/菜の花・大景と小景/天満祭の人/蛍の情感/夜の蘭/秋草三種/踊りの遍歴/月夜の子犬/海を出る月/弓はじめ/春の水/水を踏む足/黄楊の小櫛/虚構の妻/尽きるということ/風の喪失/市と市人/最上川/吉野の花/燕の糞/釣の糸/木枯の音/春雨・春風・秋風
III
芭蕉と蕪村の秋の暮
かな書きの詩人
あとがき
季語別索引