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第58回芸術選奨文部科学大臣賞受賞!
◆第八句集
『百済野』は二〇〇七年晩春までの五年間の作品収めた。『延年』につづくわたしの第八句集である。俳句は極小の詩であるがゆえに無辺の詩。ある仏典にいう「一即一切、一切即一」の文芸たり得るかも知れぬという微かな思いもある。これは瞬時のうちに永遠があり、全世界が一つの現象のうちにあるという意味だという。思えば芭蕉はその域に達していた。
(あとがきより)
◆本文より
はんざきの小さき眼その宇宙
川のもの食べその涼しさをみてゐたり
秋茄子にまだ咲く花の映りをり
正直に腹減つてくる梅の花
秋深くなりゆくものに日のあたる
青春にありしチェーホフ枯野にあり
臘梅や朝の素顔のうつくしく
流星やいのちはいのち生みつづけ
凍蝶にある日届きし日差しかな
戦争がもぐらのやうに春の国
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[やじまなぎさお]
装丁:君嶋真理子
A5判上製カバー装
156頁
2007.09.20刊行