◆既刊句集より自選303句を収録。
渚男さんの句を詠んでいると、忘れていた感覚や情景が甦ってきて、活き活きとした気分になる。「梟の目玉見にゆく星の中」とあれば、星の輝きもさることながら、なによりも山中の闇の濃さが思い出されてぞくっとするし、対照的に「アルプスの濡身かがやく桃の花」には、信州の高く晴れ上った春の粋を見る思いである。
(栞より:渋沢孝輔)
◆テーマ別精選
現代俳句の世界を新しい角度から照射し、一人一人の作家をより立体的に把握せんとする意欲的試みに充ちたシリーズです。伝統形式にささえられた芳醇なる作品群は、私たちの魂の渇きをきっと豊かに充たしてくれることでしょう。私たち日本人のアイデンティティーをこの小さな本にみつけてみませんか。
*
[やじまなぎさお(1935〜)「梟」主宰]
栞:渋沢孝輔
装丁:千葉皓史
A6判フランス装
80頁
1995.05.10刊行