◆現代俳句文庫シリーズ
春の家裏から押せば倒れけり
◆収録作品
『七十万年』(抄)
『現』(抄)
『山壊史』(抄)
『櫻守』(抄)
『法隆寺伝承』(抄)
『即興の山』(抄)
◆収録作品より
巻尺を出し切り冬の川に沿う
炎天へ遠き部屋にて水を煮る
うそ寒の水銀玉となりたがる
ニュートンを講じいるとき寒雷し
逝く春やわが骨片の二三百
汗ばむや電波暗夜をとびみだれ
ちちろ夜や書架はほとんど戦後の書
捨てられし蟹の甲羅に都心の霜
みみず地に乾きゆくとき水の記憶
一灯の照らす路傍が冬の視野
*
[わだごろう(1923〜)「白燕」同人 「船団」会員 現代俳句協会会員]
解説:木辺弘児
装丁:スタジオ・ギブ
表紙写真:武内理能
四六判ペーパーバック
104頁
1992.06.10刊行