◆ 第九句集
[立ち読みする]
平成12〜16年にかけての作品300句を収めた句集。
〈人間であること久し月見草〉
自然のあらゆる立場が迫ってくるのだ。人間だけが持っている空間と時間の概念は不思議という他はない。(著者・あとがき)
大鳥居くぐれば夏は天に在り
星月夜本をまたいで座にもどる
柿すでに柿色斜陽とどめおり
二千年言い易くして落葉期
懐に未開のことば螢の夜
猫つねに猫と限らずいなびかり
空中にとどまるやんま矢のごとし
永劫の途中に生きて花を見る
白桔梗一本にして万事かな
物質として凍蝶は赤銹びに
シャボン玉の中のシャボン玉反宇宙
椿山別の径ゆく人の声
立冬や白骨都市の観覧車
星までのはるかな空虚松の芯
玉虫や死後の眩しさあらたまる
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装丁・君嶋真理子
四六判上製フランス装函入り 180頁 2005.08.30
●著者略歴
俳誌「白燕」代表, 句集『七十万年』『現』『山壊史』『桜守』『法隆寺伝承』『即興の山』『坐忘』など。評論随筆集『現代の諷詠』『俳人想望』『俳句と自然』『赤尾兜子の世界』『活日記』『舍密祭』『俳句文明』など。第16回 現代俳句協会賞