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◆第45回毎日芸術賞受賞
『草影』は『花影』につづく私の第十句集である。
題名は集中の「冬麗や草に一本づつの影」からとった。
思いがけず長生きをして今年八十八歳、数え年九十歳を迎えその記念の句集でもある。
(著者あとがきより)
◆自選十句より
元日や如何なる時も松は松
冬麗や草に一本づつの影
亀鳴くを聞きたくて長生きをせり
囀りや大樹の昏きところより
一心に生きてさくらのころとなる
花のなか魂遊びはじめけり
粋といふこの一筋の涼気かな
黒揚羽現れてこの世のひと悼む
月の中わが魂いまは珠なして
いつ遺句となるやも知れずいぼむしり
*
[かつらのぶこ(1914〜)「草苑」主宰]
装丁:君嶋真理子
A5判フランス装
238頁
2003.12.24刊行