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◆新句集
今までの句集名から考えると少し『夏の窓』とは平凡すぎるかとも思ったが、そんな窓にたたずんで外の世界をながめているのが現在の私だと考えていただければ、この句集名の意味もなりたつのではないかと思う。
(あとがきより)
◆自選十句より
神の留守マン・レイ展に眩暈せり
手品師の手の鉄の輪にさす冬日
アイスコーヒーにストロー立てる別離かな
梅雨寒しピストルといふ形かな
瓶の中に瓶入れ難し梅雨晴間
汽車の煙を描く画家がゐて三月尽
枇杷の花たつた一人の発明家
葉桜や海に鮫ゐるうはさあり
露の世の銭湯の入口に立つ
秋の朝味の素の瓶空つぽなり
*
[みなよしつかさ(1962〜)「船団の会」会員 日本文芸家協会会員 俳人協会会員]
装画:牛尾篤
四六判ビニール巻き
92頁
1997.07.10刊行