戦後、本格的になったアメリカの俳句。小学校教育にも取り入れられ、ハイク詩人も多く活動しているアメリカのHAIKUを鑑賞する。『サンデー毎日』連載の一部をまとめたもの。
◆収録作品より
Stone face of Buddha on his gently-smiling lips a snail is crawling.
James Kirkup
仏陀の石の顔
そのやさしく微笑している唇の上を
かたつむりが這っている
ジェームズ・カーカップ
イギリスの詩人ジェームズ・カーカップさんにはいろいろなハイク語録があるが、一日にひとつハイクをつくれば医者いらず(One haiku a day keeps the doctor away)もそのひとつだ。一日一個のリンゴは医者いらずというイギリスの諺をもじったものである。どこへ行くのか、今、かたつむりがゆっくり仏様の唇のあたりを這っている。雨上がりで、そのお顔に日が当たっている。
かたつむり唇に這わせて微笑仏
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[さとうかずお(1927〜)「風」同人]
装丁:君嶋真理子
A6判並製グラシン巻
80頁
1997.11.19刊行