◆必読書!第二弾!!
ホトトギスの雑詠はそれ自体が厳選ですが、雑詠選集はさらに絞り込んだものです。それほど厳選の選集からの抽出ですから、本書はベスト百では毛頭ありません。むしろ、虚子選の自由さと多様さの一端が理解されるよう、出来るだけ多様な作者と作品を取り上げることに努めました。(解説より)
◆001
石段に立ちて眺めや京の春 野村泊月
高い所にある石段に立っている。下を見ると京の町が見渡される。歌舞伎「楼門五山桐」の石川五右衛門ではないが、「絶景かな、絶景かな」という心持ちである。ただし見えを切るような派手な調子の句ではない。ゆったりとした句である。どんな眺めか何も言っていないが、「京の春」といえば何らかの想像は可能である。私は清水寺を思い浮かべたが、場所を特定する必要はない。石段がある小高い所ならどこでもよい。
「京の春」がおくゆかしく、無欲恬淡たる句である。
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[きしもとなおき(1961〜)]
装丁:和兎
四六判変形カバー装
220頁
2012.04.29刊行