紅梅に裾引き曾我の大富士や
刃を入れて花びらとなり桜鯛
亀の鳴く頃ぞ束子を使ひをり
盛夏病み食器を洗ふ音愛す
直截な表現の中に爽やかな、確かな実感がこめられた句集。
●著者略歴
本名・高橋卓(たかし)。昭和11年2月24日茨城県結城郡に生まれる。昭和31年療養中、加藤楸邨・石田波郷等の句集を読んで感銘、俳句を始める。昭和32年加藤楸邨選・東京タイムズ俳壇に投句、初入選。昭和33年1月東京タイムズ俳壇下半期賞・第三席受賞。昭和35年8月東京タイムズ俳壇上半期賞・第一席受賞。以後「寒雷」・加藤楸邨に学ぶ。昭和45年「杉」創刊と共に森澄雄に師事。昭和47年社会福祉法人中央共同募金会賞受賞。昭和53年「杉」同人、現在に至る