[立ち読みする]
◆第三句集
八十島のそれぞれに名や囀れり
ありとあらゆる物に名を付けて自然を慈しんできた日本人。その心を大切に、俳句という十七文字の詩を囀っていきたい-。俳句雑誌『いには』を創刊主宰する著者による第三句集。
◆自選十句より
今年この桜と縁結びけり
にはとりは天あふぎ飲む桜かな
木の花の白の咲き継ぎ明易し
草市のものの束ねしままにあり
椎の実の風なきに落つ風に落つ
鳴きだして重くなりたる虫の籠
ことごとく神慮と思ふ龍の玉
いには野の月の育てし初氷
土竜塚春へつづいてゐるやうな
死者はみな呼び捨てにして花の下
*
[むらかみきよこ(1943〜)「濱」同人 「いには」主宰]
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
188頁
2007.08.10刊行