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◆ 第一句集
「澄む独楽のやがてわらりと朱を見する」星花さんは、俳句表現に関する探究心の旺盛なことにおいて、「鷹」でも屈指の存在である。例えばこの句の「わらり」。揺らぎ始めた独楽が派手な模様を明らかにするその瞬間を発止と掴んだ。存在の本質に食い込むような言葉は、対象に通わせた心の深さを想像させるものである。(小川軽舟)
●『山麓』一〇句・小川軽舟抄出
笹山に鮓の笹剪る初嵐
犀星の川に雨ふる青あんず
高空に白山在りぬ手毬唄
ぐふぐふとわらふ加湿器春隣
虚子の忌のどこにも触れず春の虹
雪沓穿く喪服の褄を高くとり
葛咲くやむかし男は闇を来て
年新たかちりと星座動きけり
さびしとは言はず寒しと言ひにけり
稜線を仰ぐ子はわれ猫柳
[「鷹」同人(1936〜)]
定価 本体2476円+税=2600円
序・小川軽舟
跋・奥坂まや
装丁・君嶋真理子
4/6判上製カバー装
202頁