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◆ 著者第一句集
ここ数年、俳句の読み手である私は、晶子に対して、その悍馬のごとき溢るる才を制馭すべく助言してきた。それには子規の「写生」説を学ぶことが有効であることを。そして、今『海月』を繙いてびっくりしている。読者をおいてきぼりにしている作品は一句としてないのである。しかも、恵まれた才から生まれる「新しみ」を保持したままで。
復本一郎(序文より)
自然に心を寄せ家族の身辺を大切にしながら、カメラマンとしての視覚の鋭さを根底にして俳味の世界へと広がった晶子の俳句世界。その世界はこれから後さらに多彩に展開するに違いない。
正攻法でいて発想の新しい句を柱に自分の殻をどんどん破っていくべきである。
俳壇という海を自由に力いっぱい泳いでいって欲しい。海を愛しても海に同化しない海月として──。
大木あまり(跋文より)
花片のひしめく闇を切つて風
十字架の下に水仙乱れ咲く
大仏の胎内にある梅雨じめり
泡立てのクリーム飛んで梅の花
小鳥屋の鳴かせ上手や桜桃忌
うたかたの呼吸してゐる海月かな
序文・復本一郎 跋文・大木あまり
装丁・君嶋真理子 四六判上製カバー装 168頁
●著者略歴
1943東京生れ。1966日本大学芸術学部写真学科卒業。以後、フリー写真家となる。1968主に雑誌グラビアの企画制作の仕事をする中、集英社プレイボーイ「海から来たレオ」「アダムとイブ」等ヌード作品が国内外の話題となる。他女性誌連載。新聞全面広告。1970東京中日スポーツ「どろどろぱあ」100回写真連載。局長賞受賞。1972結婚。二女をもうける。1992前田吐実男主宰「夢」所属。現代俳句協会入会。1996復本一郎代表「妙連寺俳句会」入会。1998復本一郎代表「鬼の会」発足より入会、現在に至る