◆ 著者第一句集
<逆立ちてをりたる秋の金魚かな>
この作者の写実は、対象を正確に写し取るばかりでなく、対象の新たな本質を提示するところにこそ真骨頂がある。この句以降、秋の金魚はいつも逆立ちをしていなければならない。そう思わせるところがとう子写実の力である。
綾部仁喜(序文より)
涅槃図の若草色の大地かな
流氷の沖にひろがる厩出し
若鮎やしきりに草の流れきて
赤き味青き味夏来たりけり
ぼろぼろな空のひまはり畑かな
朝顔の生粋の紺母の紺
青空の白鳥に白鳥のこゑ
序文・綾部仁喜 装丁・君嶋真理子
四六判上製カバー装 187頁
●著者略歴
旧姓、三堂地。昭和13年栃木県生まれ。昭和62年綾部仁喜先生に師事。平成3年「泉」入会。平成7年「泉」同人。平成9年泉新人賞受賞。平成10年泉賞受賞。平成11年第一回俳句朝日賞準賞受賞、俳人協会会員