[立ち読みする]
『はて』を読みながら、ときおり理由のわからない怖さを感じた。一見すると普通に身の回りを詠っているようでいながら、何かが変だ。静かな言葉の裏に貼りついている緊迫感はなんなんだろう。穂村弘(栞より)
やわらかな記憶のなかの色をして入り口に咲くしろいたんぽぽ
秋の陽に遊ばせておく きみのためのえのころ草をつぶさぬように
守るべき優しくすべき いつ頃のどの生物のいきた地球を
この言葉で届くだろうか夜半過ぎ流星群が来るはずの空
目を閉じて風の終わりを確かめて 桜蕊降る空を仰いだ
ばさばさとうつ伏せのまま落ちてくる大きな大きな重そうな雪
一回に出会える波は一つだけ 行ったきりならそれでもいいし
栞・穂村 弘
装丁・君嶋真理子
4/6判上製カバー装
178頁
2008.04.18刊行