◆ 著者、第一句集
中田美子さんの俳句には、中田さん自身から自然にわき出てくる知的で爽快な味わいがあります。騒々しさのない冷静な感じが伝わるのは、喝采を得ようとか、おもしろがってもらおうとか、そういう意識で書かれた句がないからだろうと思います。(略)句の世界が明るく、言葉がのびやかなところに中田美子という女性の表情がありありと出ていて、爽やかな気分になります。宇多喜代子(跋文より)
ビル朧どこにでもある中央区
新緑が人のすきまを埋めてゆく
鎖骨よりのびる首すじ花の雨
夏空や砂漠の神に強き脚
恋人と骨のかけらを取り換える
アメリカの大きな鹿の話かな
惑星に太古の配置春隣
跋文・宇多喜代子 装丁・君嶋真理子
四六判小口折表紙 132頁