第5回雪梁舎俳句大賞特別賞受賞!
◆第九句集
対象とその向こうにあるものを、碧蹄館の眼は追う。常に異質の物を誘致し、幻の世界を展き、句は宇宙空間を飛翔する。独想独語独断、師である中村草田男の言う「第一発見者たれ!」の掟が雄雄しく貫かれている。
全四三八句。
◆自選一〇句
初夢や膝に三枚石を抱く
白魚の滑りゆく喉不問に付す
扼殺の聲を漏らさぬ海市かな
外套を脱ぐバルザック富士が立つ
甘酒の銀泥怖るのんどかな
擂り鉢状の刑場に胡麻煎らるべし
列柱・ハーブ・主の血の管を冬の月
初凧にまで驅けりては馬頭琴
三月になりて傘壽の傘を差す
渤海へ出づ骨片と罌粟の壺
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[いそがいへきていかん]
著者略歴
本名・甚吉。大正13年3月19日東京生まれ。十九歳より感動主義の萩原蘿月・内田南草に師事。「璧」「海流」「黒姫」「感動律」の同人を経て、昭和29年中村草田男に入門。昭和35年「与へられたる現在に」で第六回角川俳句賞受賞。昭和41年第一句集『握手』刊行。昭和42年第六回俳人協会賞受賞。昭和43年第十五回万緑賞受賞。昭和49年「握手」創刊主宰。俳人協会評議員。日本文芸家協会会員。創玄書道展審査員。現代俳句協会会員
装丁:君嶋真理子
A5判上製カバー装函入り
246頁
2003.07.17刊行