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第8回加美俳句大賞 スウェーデン賞受賞!
◆ 詩人である著者、第一句集
水月りのは私をはらはらさせる、これからのホープである。佐藤鬼房(序文より)
<人魚姫声の出そうなさくら雨>
<人魚かと問いつめられて花の闇>
いずれも人魚の句だが、桜に人魚の取り合わせは珍しいと言うより奇妙な世界だ。この奇妙さが水月りのの不思議な世界と言ってよい。ここで季の言葉、文学史上での桜の本意は消え去っている。本意を飛び越えている。しかもそれを無意識に行っているのだ。言葉が彼女の内面から零れ落ちるかのように思えるのだ。言葉は生きているたった一つの「しるし」であるとの本人自身の口を借りれば、まさに俳句のかたちになったものは、作者の存在そのものである。渡辺誠一郎(跋文より)
墓裏に春の魚を置いてくる
うっすらと桃の香神様居留守中
梅雨入りの郵便箱にトゥシューズ
前世は雨 月見草 眠クナル
薄氷と踏絵と赤いハイヒール
オルゴール鳴りもう一度春の海
*
[みづきりの(1959〜)]
序:佐藤鬼房
跋:渡辺誠一郎
装丁:平塚陽美
四六判変形ソフトカバー
112頁
2002.03.06刊行