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平成8年から17年までの作品の中から、363句を選んだ第1句集。
ひよんの笛吹いて木霊をよろこばす
序・三村純也/栞・井上弘美
詩があり、飛躍がある。こういう豊かな、感受性は、やはり風光明媚な島に生まれ育った、妙子さんの持って生まれたものだろうと思う。(序)
五月来るバイクは風となりにけり
本当の自分がうつる秋の水
一人立てば枯木の影のうすきかな
冬怒涛なみだかわいてしまひけり
ざぶざぶと洗濯楽し夏に入る
万緑の風に体の軽くなる
藻の花に笹舟とまりとまりゆく
虫送すみてみどりの風の道
醤の香ただよふ島の夜の秋
花八手金魚の墓のまたひとつ
馬の目に青空うつる花ミモザ
朝蝉や明るく夫を送り出す
長き夜のアルキメデスの原理ふと
堂々と滝となりたる水の音
(自選15句)
序文・三村純也 栞・井上弘美
装丁・君嶋真理子 四六判並製ソフトカバーグラシン巻き 218頁
●著者略歴
西村 妙子
昭和19年11月香川県小豆島生まれ。平成8年「あじろ」主宰角光雄先生の俳句教室に入会。平成12年5月「山茶花」入会。三村純也先生に師事。現在、「山茶花」同人、俳人協会会員