[立ち読みする]
ひるがほの花の破れの晴れてをり
序・佐々木六戈/栞・深見けん二「本意と個性」
秋山夢は一句、一句、日々を積み重ねるようにして、草木から来る消息に耳を傾けている。その姿を読んで貰いたいとおもう。一冊の筆跡として丸ごと読んで貰いたいのである。(序)
万緑の貌から飛んで蜂来る
蓮の花散りて行方のありにけり
遠くから空の鳴り出す泉かな
青空へ土の中から蟻の塔
ぶつかつてぶつかつて水澄みにけり
静かさを芋虫が喰ひすすみゆく
人の忌の鶉に鶉添ひにけり
一羽来て二羽映りたる秋の水
深みよりまた浮き上がる木の葉かな
枯れ渡る未草から未草
消ゆるまで霜の柱で倒れをる
ふくろふの物喰ふ眼閉ぢにけり
鴬に煙りまつすぐ昇らせる
囀の脚見えてゐる梢かな
寂と打ち合へる雀の帷子よ
(自選15句)
装丁・君嶋真理子 四六判並製ソフトカバーグラシン巻き 200頁
●著者略歴
秋山 夢
1996年作句開始。所属は句歌詩帖「草藏」、俳誌「文」