大緑陰ディスカッションの輪のできて
男のうそ聞きつつ我はビール干す
一度は捨てた俳句を、自分の表現手段としてもう一度取り戻した著者の句集。
◆ 著者第一句集
いつの間にか花の盛りは過ぎて、ちらほらと枝先に残っていた花片もすっかり散り尽くし、柔らかな緑の葉がさわさわと吹かれる季節になっている───。「花は葉に」という季題の心を思うとき、<どこまでもひとりと思う花は葉に>のアンニュイは、季題が従来担ってきた伝統をしっかり感じさせる。しかし<花は葉に久女の謎は謎のまま>になると、加えて作者独自の感性と知性の融和を見ることが出来るのである。行方克己(帯文より)
今度句集を編むにあたって、今までの作品をすべて読んだ。そこには紛れもない近藤千雅さんの全貌が語られていた。勢いのある青春時代、教師としての喜び、迷い、悩み。女性としての心の揺れも、冷静な目も、潔い覚悟も、人生の陰翳も、一句一句に表われていた。西村和子(序文より)
大緑蔭ディスカッションの輪のできて
男のうそ聞きつつ我はビール干す
シャンデリア涼しスターの足長し
学校を捨てやう春の野に出やう
回り道ばかりしてをり鰯雲
ぬひぐるみ答へてくれず秋の夜
序文・西村和子 帯文・行方克己
装丁・君嶋真理子 四六判並製小口折 190頁
●著者略歴
昭和28年10月4日大阪生まれ。昭和55年~昭和63年「かつらぎ」投句。平成10年より「知音」所属。俳人協会会員