第4回山本健吉文学賞(俳句部門)受賞
◆豊熟の証
緊密澄明な句境に、ふくよかな香味が加わった。
きちせあや俳句の豊熟の証といえよう。
(帯より:綾部仁喜)
◆自選一〇句
白波を繰り出してゐる霞かな
母馬となり暗がりに佇ちつくす
引戸また開いて八十八夜かな
竹林を正すべくあり今年竹
明るさのほたる袋に入らむか
草市のひとつ売れては整へて
十六夜の母に枕を足しにけり
穴惑草が大きくある日なり
綿草をはづませてゐる泉かな
*
[きちせあや(1928〜)]
装丁:君嶋真理子
A5判上製カバー装
138頁
2003.09.15刊行