◆ 著者第一句集
<滝壺を覗く一番前にをり>
透徹した清らかな存在感が、自然を愛し、人を愛する智と情にひそかな激しい熱が加わって融合し、結ばれる時、滝の句に限らずどの句にもさわやかな涼風のような快さを感じるのである。そして、これは日常吟は勿論旅行においても全く変わらない。紀子俳句の誰も真似が出来ない魅力である。神蔵 器(序文より)
うつうつと来て白鹿の前に佇つ
クロークに軽くたたみて春コート
ぺしやんこの猫が出てくる露葎
雪の夜や勾玉色の灯をともす
抱かるることなき髪を洗ひけり
町流し追うて夜明けの露を踏む
序文・神蔵 器 装丁・君嶋真理子
四六判上製カバー装 243頁
●著者略歴
1982(昭和57)年風土入会。1986(昭和61)年新人賞受賞。1986(昭和61)年同人。1997(平成9)年風土賞受賞。俳人協会会員