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歳晩や試薬に沁みし手の表裏

笠原和恵さんは臨床検査技師として、四十年間その仕事に挺身した人。
今ここに三十年以上にわたる作品を読み、まずこの人の初期から中期へかけての句風の底流には、これを当然のことながら「馬酔木」の端正にして流麗な句風が色濃く流れていることを知った。しかしその中で心を打たれるのは、やはりこの人の生涯をかけての仕事に密着した句である。

序・鷲谷七菜子