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◆ 第一句集
大串さんは、大変控え目で目立ったことが嫌いである。従って、その俳句も才知に走ったり奇を衒うようなものはほとんど無い。あくまでも正々堂々と正面から対象にぶつかり、自分の目と心で確かめ自分の言葉で表現している。これが五十年間俳句に関わって到達した大串さんの信念に違いない。そこに句の確かさと存在感があると言える。(序より・松田雄姿)
●自選一〇句
一歳へ百一歳のお年玉
片言を雛にふやして納めをり
書斎とは名ばかりの部屋啄木忌
水音のして水見えず著莪の花
夏草を刈る団塊の世代かな
一匹の金魚に餌やひとりつ子
邯鄲の闇に百人耳澄ます
雁の列サーカス小屋の上をゆく
座布団の擦り切れてゐる藁仕事
産み月の牛を励ます息白し
序文・松田雄姿 跋文・松内佳子
装丁・君嶋真理子
四六判上製カバー装
218頁 2007.09.10刊行