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行儀よく、または行儀を外れていろいろな行状が表現され、人生を考えさせる句が収められた句集。
句集『楪』では、人生を考えさせる句に衝きあたる。それが行儀よく、または行儀をはずれて、いろいろな行状を句に表現しているが、私が想い起すのは、氏の邸宅の床の間をしめている一間余の佛壇だ。宗旨は知らないが、佛壇の前に胡坐をかいた、うさみとしおの風体は俳句など忘れた態の大人ぶりであった。松崎豊(跋文より)
馬酔木咲き夕づつといふ足音す
古書漁りして昏れにけり素逝の忌
母の死後涼み台なぞ用はなし
死ぬるものみんな総出で地網曳く
良寛をなぞりて春に酔ひにけり
明易の邪鬼がぞめきて眠らせず
秋暑し超短足の大黒天
跋文・松崎豊 装丁・君嶋真理子
装画・安藤真司 銅版画集「雨に咲く」より
四六判フランス装
●著者略歴
大正14年7月5日愛知県蟹江町生まれ。昭和20年より作句。長谷川素逝・山口誓子・加藤かけいに師事。昭和52年八田木枯と「晩紅」創刊。昭和60年「雷魚」創刊同人参加。現代俳句協会会員