情を抑えて自然への視点を軸に磨きをかけた318句を収録した句集。
◆ 著者第一句集
情を抑えて自然への視点を軸に磨きをかけてきた一集と言いたい。季の確かな把握、なめらかな声調が選択の行きとどいた言葉に託されて表出される。すべて穏やかなひたむきな人柄から生まれる世界であろう。廣瀬直人(帯文より)
月光のおとづれを待つ冬泉
漆黒の怒りもあらん冬銀河
斑雪山柱時計が正午打つ
人も木も春暁といふ繭のなか
山に雲湧き筍の舌ざはり
短夜や目覚めて風の記憶のみ
黄落や水いきいきと海をさし
鳥渡る海岸通りすこし濡れ
青空のいづこも遠し雪間草
帯文・廣瀬直人 装丁・君嶋真理子
四六判フランス装 194頁
●著者略歴
1955年横浜に生れる。1976年「雲母」入会。1993年「白露」創刊と共に入会。1996年「白露」同人。「飯田龍太の形成」が第1回白露評論賞優秀作となる。1998年「『童眸』の世界」により第2回白露評論賞受賞