「大寒の客なき電車折り返す」 駅よりはじまり駅で終る列車の旅。それぞれの旅先での思い出を駅に託す。駅は心のよりどころ、という著者の第1句集。
◆ 著者第一句集
惠子さんは、列車の旅の駅に愛着を持ち、『駅』と題して第一句集をまとめられた。駅は、作者の心に湛えられた詩情の源泉であろう。深見けん二(序文より)
黒南風や波の高さに五能線
旅の荷をあづけし石のあたたかし
鈴虫のいよいよ翅を広げけり
牡丹焚く今年も蝶の現れて
蝌蚪掬ふ子の眼となつて来し父と
衣川注ぐ北上川雁の棹
初鴨の闇夜に声を荒立てて
序文・深見けん二 装丁・君嶋真理子
扉:題字・小山田信子 スケッチ画・高橋タイ子
四六判フランス装 183頁
●著者略歴
昭和19年4月25日青森県十和田市に生れる。昭和50年「夏草」入会。平成3年「花鳥来」「天為」入会。平成12年俳人協会会員