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◆ 第一句集
「おのづから身の軽くなる夜の秋」
「夜の秋」の季感と、その時の作者の心理をとらえる。
「葉桜となり静けさをとりもどす」
季節の移り変わりの中にナイーブな心情をあらわす。
「母の日や履かれぬままの下駄草履」
生前、ものを大切にしてきた母らしい。遺されたものを通して母への思いを詠う。いずれも情感をさりげなく表現していて、心を打つ作品集である。(鷹羽狩行)
●鷹羽狩行抽出
いつもとは違ふ道来て犬ふぐり
卯の花や後戻りして道を問ふ
逆境に不思議と力花八手
過ぎし恋これからの恋春の星
鬼灯市先ゆく人にまねて触れ
みほとけに近々と坐し暮の秋
共演が夫婦の縁花は葉に
大阪にこんなにも星去年今年
しばらくは固まり流れ花筏
だんまりを押し通すなり水中花
序句/帯・鷹羽狩行
跋・桑島啓司
装丁・君嶋真理子
四六判上製カバー装
184頁