[立ち読みする]
◆ 第一句集
「風は秋鳥のかたちの梵字かな」
ゆかりさんの最近の句は個性に益々磨きがかかり、感覚の若さに裏打ちされた豊かな詩性を感じる。「風は秋」という上五の置き方も巧みで、「梵字」を鳥のかたちとみた思いは非凡である。(能村研三)
●自選一〇句
さざ波は鯨の尾より生れし波
月朧わたくしといふかたちかな
口中に動く舌あり花疲れ
春満月足裏つめたく眠りけり
田水張る山々を雲拭き上げて
かたつむり泣きたいときは殻に入る
泳ぐとはゆつくりと海纏ふこと
ジェットコースター炎帝どこにゐる
紙折れば生まるる影や終戦日
ことわりもなく満月のついてくる
序文・能村研三
装丁・君嶋真理子
四六判並製ソフトカバー
192頁 2007.09.26刊行