◆ 遺句集
亀野かよさんの作品は、初めから好素質をうかがわせるものであった。背筋が伸び、どこまでも清朗であった。
白桃賞を受賞した「浅草三社祭」は、かよさんの更なる一境を拓いたものであった。
私はいまでもかよさんの早逝を悔んでいる。伊藤通明(帯文より)
生活の音止みて澄む大旦
起きぬけに牡丹の前の莨かな
野舞台の席より煙ぶる蚊遣香
雄滝より十歩離れし乾きかな
木犀や絵付の窓を細く開け
かなかなのこころ遠くへ誘ひけり
一面の雪の中なる雪捨て場
帯文・伊藤通明 跋文・中田みなみ
装丁・君嶋真理子 四六判上製カバー装