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◆ 朝俊英シリーズ 第五回配本
<躓ける母を抱きぬ草紅葉>
ご高齢のお母様に対してお気遣いは勿論あろうけれど、八十路を迎えてなお、母と呼び、娘と呼んでくれる方が居られるということは得難い幸せと云えるのではないだろうか。初子さんが今もなお、明るく、無邪気とも云える笑顔を持ちつづけられるのはお母様の存在あってこそのものではないだろうかと私は考える。
岡本眸(序文より)
紅萩や乾く戸毎の水汲場
盆灯籠胸に抱きて灯しけり
湯畠の湯気に逆らふ小雪かな
よろづ枯る中を二輌の小海線
さみしさの汗したたらせ畳拭く
白萩を羽交締めして括りけり
枇杷熟るる娘の家に母よく眠る
序文・岡本眸 装丁・君嶋真理子
A5判上製カバー装 112頁
●著者略歴
横浜市出身。大正10年7月6日生。昭和55年4月1日岡本眸に師事。朝日カルチャー教室入会。平成7年11月朝同人