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◆ 第2歌集
『猫徑』で注目された海野冨久子の第二歌集。豊かな語彙、新鮮な感覚、そしてユーモア……老いを潔く詠み、凜とした短歌世界が広がる。 (帯より)
往きゆきて巷(まち)のほとりに伏す時も身に添ひてあれ紫の杖
拾ひたる藍青(らんじやう)の硝子に透かし見る野辺は水無月水浅葱いろ
猫の仔に蚊帳の出入り教へたる彼の夏の夜の遠き雷鳴
時代劇旗本屋敷に表札あり郵便受けもあるやもしれず
死ぬことを忘れかけたる齢(よはひ)さて山姥になるか箒に乗るか
装丁・君嶋真理子 四六判上製カバー装 175頁