◆第一句集
今様俳諧風に手足れる作品はない。
定型に正対するのは自由ならんとするからだ。
明解に書きつづけようとする、幻視に向うために。
切切の営為を、自らに課して、いま明解に定型であるという〈山本左門〉の経緯。
そのことに深く共鳴したい。
(序より:小川双々子)
◆小川双々子選より
白鳥に金のココアの缶を振る
風花や硝子を走る硝子切
水彩のような出血ヒヤシンス
夭折の詩集を愛す冬早
芹レタスセロリパセリよ血を浄めよ
西東忌両手離しの自転車来る
整髪の油冷たき復活祭
曼珠沙華容赦なきこと美しき
きさらぎや茶房に銀器煮られおり
夏至前夜鍵盤にある峡湾
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[やまもとさもん]
序:小川双々子
装丁:君嶋真理子
菊判並製カバー装
108頁
1998.09.24刊行