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◆ 初の随筆集
麗子さんは、長野県大町の風土を抒情性と知的センスを充分に発揮して詠い、佳句を多く生み出し続けている。と同時に優れた文章家、随筆家としても活躍しているのである。その師青邨は名随筆家であった。俳人は俳句と同時に文章も書くべしということが、一つの教えであった。(有馬朗人)
九月の例会には上條勝さんが、岡谷の山野を跋渉して手折った花野の花が差し出された。先生はその花を随分と楽しみにしていらっしゃった。その日は、先着のとほる先生ご夫妻とご歓談の所へ、勝、敬子、照子、私が合流した。例によって、いそ子奥様が大きな水桶を書斎に提げてこられた、桶はきまって人形の熊野の前に置かれた。われもこう、おやまぼくち、とりかぶと、おぐらせんのう、サワギキョウ、おたからこう、マツムシ草・・まだまだ沢山ある。青邨先生は、「おお、美しい」と桶の前に両手を突かれて、投げ入れられた花にしばし見とれていらっしゃった。(本文「青邨先生と草の実の人々」より抜粋)
●目次より
I 冬の月 夫・安盛の記憶
II 思い出 大町の風景
III ホセとチーコ 生活雑記
IV 水泳日記
V 白い帽子 旅行雑記
VI Beautiful Flowers 海外雑記
VII 俳句をめぐる人々
「天為」同人
定価 本体3333円+税=3500円
序・有馬朗人
装丁・君嶋真理子
四六判上製カバー装
320頁
2007.0311.刊行