[立ち読みする]
◆現代俳句文庫シリーズ
男根担ぎ佛壇峠越えにけり
◆収録作品
『無灯艦隊』(抄)
『定本無灯艦灯』(抄)
『瞳孔祭』(抄)
『家族の肖像』(抄)
『死亡の塔』(抄)
『町は白緑』(抄)
『桔梗祭』(抄)
『月光学校』(抄)
『月山山系』(抄)
◆収録作品より
不眠症に落葉が魚になっている
巨きな耳が飛びだす羊飼う村に
海峡がてのひらに充ち髪梳く青年
夜明け沖よりボクサーの鼓動村を走る
さくら散って火夫らは耳を剃り落とす
流氷の夜鐘ほど父を突きにけり
黒穂ふえ喪がふえ母が倒れている
沖に帆がてのひらに飯粒が昏れ
父よ馬よ月に睫毛が生えている
死者の耳裏海峡が見えたりする
*
[にしかわてつろう(1947〜)「氷原帯」「粒」「渦」「杭」「海程」「豈」「流星」同人]
解説:藤沢周
装丁:スタジオ・ギブ
表紙写真:武内理能
四六判ペーパーバック
104頁
1992.08.25刊行