◆現代俳句文庫シリーズ
寒鯉の背鰭の水はぬめりけり
◆収録作品
『埋立地』(抄)
『桜榾』(抄)
『次郎柿』(抄)
『次郎柿』以後
◆収録作品より
木の実拾ふ眉鮮やかな童女たち
鎌倉の五山めぐりに日傘さす
青梅落つ駈込寺に音立てて
虹鱒のその水底に旅の影
妻の背に三角ショール巻き街へ
蝌蚪が尾をふれあふ嬰児背にねむり
さざ波の天満祭も夜となりぬ
建設の秋水鉄の火を映す
夜焚火のさかん打鋲の火は天に
鉄骨をくぐりて春の燈をともす
*
[さいとうかふう(1931〜)「屋根」主宰 俳人協会幹事]
解説:山口青邨 深見けん二
装丁:スタジオ・ギブ
表紙写真:武内理能
四六判ぺーパーバック
104頁
1994.12.20刊行