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◆ 第二句集
最近の作品を読むと、作者の長年の研鑽が実を結び、句境が一段と深まっているのがわかる。具象を通し、具象を超えて、深層心理の世界にまで踏み込んでいる。しみじみとした年輪の味わいを感じさせる好句集である。 (序・岡本 眸)
茎立やものを書きては手を洗ひ
春逝くや家居のごとく墓地にゐて
一湾の茫々たるに氷旗
飲食にきちんと座る白露かな
つまづきて秋の蚊遣と気付きけり
目覚めたる掌に爽涼の畳かな
草の名を聞きては跼む秋日傘
男郎花打ち重なりて倒れけり
散木槿過去一片の暮色かな
屋根といふさびしきかたち寒夕焼
序文・岡本 眸
装丁・君嶋真理子
四六判上製函装
194頁 2007.10.23刊行