◆ 季節に導かれて……110篇のエッセイ。
[立ち読みする]
日々の暮しの中で、著者にとって死者は常に身近で親しい存在である。冥界との扉は常に開かれていて、懐かしい死者たちは自在に出入りする。季節の光が映し出すものもまた、生者よりも記憶の淵にとどまる人々との鮮やかな交歓である。(帯より)
書くということは息をすることと同じ。そんな気がしている。ところで、この中には息子と孫を除いて生者はひとりも登場させてない。今年、私は父の享年と同じ年齢になった。死者との距離がまた縮まっていく。これからも筆のおもむくままに書き続けるだろう。「季語への散歩」は終わっても心の散歩は続くだろうから。(あとがき)
装丁・君嶋真理子
四六判変型並製ソフトカバー 230頁
●著者略歴
昭和13年3月25日生まれ。日本女子大学国文科卒。俳句同人誌「豈」所属。個人誌「GA」発行。句集『仮面』『孤独浄土』『恋獄の木』『夢と知りせば』, 句歌集『万媚』, 句文集『胎夢』『妖虚句集』『十二花句』等, エッセイ集『火棘?兜子憶へば』『夢の柩?わたしの魔女』『自選150句選』。現代俳句協会会員。第13回福岡市文学賞受賞