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◆ 妹(いも)の力をキイワードに
著者はコウ子の俳句作品を読み解いていく
長きにわたってコウ子に憬れコウ子の俳句を追い続けてきた素子さんの真摯な姿勢が乱れることなく冒頭から筆を擱くまで貫かれている。どこか石鼎亡きあとの「鹿火屋」を支えたコウ子の強靱な仕事振りに似ている。コウ子の遺した『石鼎とともに』は満身創痍の中にあってもコウ子の不思議なかがやきはいささかも失せず、むしろその軌跡は神々しいばかりに読むものの心を打つ、素子さんはこのコウ子の不思議なかがやきを実に丹念に十七文字を通して顕彰している。原 和子(跋文より)
石鼎はコウ子の額にくちづけをし──ここには神が宿っている。触れると力が湧く──とさえ言った。
実際コウ子は、石鼎に天賦の才を十分に発揮さすべく、石鼎の身辺を整えた。
石鼎の言う、神宿る額の力か、コウ子の妹の力によるものか、石鼎は句を作り、絵筆をとり、はては『言語学への出発』の本をなした。 (本文より)
跋文・原和子 装丁・山崎登
四六判並製カバー装 215頁
●著者略歴
昭和17年富山県生れ。昭和48年「鹿火屋」入会。昭和60年鹿火屋奨励賞受賞。平成13年鹿火屋賞受賞。「鹿火屋」編集同人、俳人協会会員