◆ 第一回山本健吉賞受賞俳人の待望のエッセイ集!
自然が内包する豊かな音律
俳人の魂と交換し、みずみずしい私情が生まれる。
*目次*
早春賦/青葉のころ/早春の小原村/山茶花の記/牡蠣の季節/
早春と白魚/六月の高原/早春の旅/美しき緑走れり/伊勢志摩の旅/
花野に佇つ/花粉の秘薬/泉のほとりで/海外の味二話/秋山郷の印象/
花の下/七夕香と納涼茶会/“水”はいのち/貴重な共有の時間/
水いろの空を追って/冬の旅/自然が与えてくれるもの/九鬼の浦/
芭蕉の持病/盆の月/夏山の花たち/藍の話-有松絞り/若い人と俳句/
歳月の坂/伊吹山登頂/白牡丹ふっさりと/信濃路の秋/
二〇〇〇年への想い/わが俳枕
春から夏への移行には、トランペットを高鳴らすような、自然の堂々たる歓喜と生命感の横溢がある。夏から秋へのそれには、シンバルを乱打したあとの、ある種の虚無感と共に、衰退のきざしがさびしさを伴ってあるし、秋から冬へのそれには、欠落の部分が大きくなっていくような必然の中で、晩祷にこめる諦感に云いがたい寂寥相が内包されてくる。
(本文より)
装丁・スタジオ・ギブ 川島 進
四六判上製カバー装 198頁