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◆ 第一句集
「餅ひとつ入れて編みたる福俵」「福俵」は小正月のとんどの飾り物のひとつで、めいめいが家で編んで作ったものである。新春の季の物であるが、限られた地方のものゆえ、歳時記には季語として登載されていない。餅を一つ入れて、俵の形に編んだのであろうか。俵の、餅の呪力を信じての「福俵」かもしれない。(茨木和生)
●自選一〇句
手拭は霜の畑で見つかりし
献体の屍凍えてゐはせぬか
目に母乳差してもらひぬ木の芽時
鉦打ちて灰寄せ詣で日の盛
乳房なき人と並びて髪洗ふ
鮫皮の胴も磨きて魂迎
密会と間違はれしよ菌狩
さへづりもころも入らぬおでんなど
墨入りのよき紙選ぶ試筆かな
朝悔みすませて来たり花菜漬
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序文・茨木和生
装丁・君嶋真理子
四六判上製函装
234頁 2007.11.11刊行